フリーランスになる前に知っておきたいお金のこと~税金編~

税金・制度

フリーランスとして独立する場合、会社員時代と大きく異なるのがお金のこと。フリーランスになると、これまで給与から天引きされていた税金や社会保険料は自分で支払うことになります。

今回のテーマは、これからフリーランスとして独立しようと考えている方が知っておきたい「税金」と「社会保険料」のはなし。第1回目の本記事では「税金編」をお届けします。

フリーランスになってから「こんなにお金がかかるの?」と慌てないためにも、事前にチェックしておきましょう。

こんな方におすすめの記事です
  • フリーランスとして独立を考えている
  • フリーランスが支払う税金の種類が知りたい
  • 給与からどんな税金が引かれているか知りたい

給与から天引きされている税金・社会保険料

会社員の税金や社会保険料は、給与から天引きされていることが一般的。直接納税しているわけではないので、どのような税金や社会保険料をどれだけ納めているのか意識していない方もいるのではないでしょうか。

しかし、 フリーランスは税金や社会保険料を自分で納めなければなりません。会社員時代は給与から天引きされていて 、フリーランスになると支払わなければいけない代表的な税金・社会保険料は以下の5つです。

  • 所得税
  • 個人住民税
  • 国民年金保険料
  • 国民健康保険料
  • 介護保険料

今回はフリーランスが支払わなければならない代表的な税金「所得税」「個人住民税」について、仕組みと納め方についてご紹介します。

所得税

所得税は前年の所得(収入から必要経費を差し引いた金額)に対して課される税金のこと。 所得税は累進課税といい、所得が高いほど税率が高くなるしくみです。 下表は所得税の税率表です。

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超 330万円以下10%97,500円
330万円超 695万円以下20%427,500円
695万円超 900万円以下23%636,000円
900万円超 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円超 4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

出典:国税庁ホームページ

所得税の納め方

会社員の所得税は毎月の給与から天引きされるため、自ら納税する必要はありません。一方フリーランスは、前年の所得を「確定申告」して所得税を納める必要があります。天引きされなくなった分の所得税は翌年一括で納税する必要があるのです。

フリーランスの確定申告については、後日別の記事で解説しますので詳しく知りたい方はそちらをご覧ください。

個人住民税

個人住民税とは道府県民税と市町村民税の総称で、お住まいの自治体に支払う地方税です。その年の1月1日時点で住民票がある市町村に納税します。

住民税には前年の所得に応じて課税される「所得割」と、所得にかかわらず一律で徴収される「均等割」の2種類から成ります。

所得割は一律10%(道府県民税4%/市町村税6%)。均等割の金額は自治体によって異なりますが、道府県民税と市町村税の合計で5,000円前後のところが多いようです。

所得割均等割
道府県民税課税所得金額 × 4%自治体によって異なる
市町村税課税所得金額 × 6%

またフリーランスとして事務所を持っている方は、均等割のみを別途支払わなければならないケースがあります。

住民票のある市町村以外に事務所がある場合、住民票のある市町村に納める個人住民税に加えて、事務所のある市町村にも個人住民税の「均等割」を支払う必要があるので覚えておきましょう。

個人住民税の納め方

個人住民税の納め方には「特別徴収」と「普通徴収」の2種類があります。 特別徴収は、会社が従業員に代わって住民税を納付する方法。そのため会社員は所得税同様、毎月給与から天引きされることが一般的です。

一方フリーランスは「普通徴収」 という方法で直接対象の自治体に納税する必要があります。 普通徴収の支払い時期は、「6月・8月・10月・1月 」 の年4回。

納税額が会社員のときと同程度だったとしても、毎月給与から天引きされていた会社員時代より1回あたりの金額が大きくなるため、負担に感じる方もいるかもしれません。

個人住民税は確定申告の内容がお住まいの自治体に転送され、その内容をもとに納税額が決定するしくみです。そのため、確定申告をしていれば住民税の申告をする必要はありません。

ただし何らかの理由で確定申告をしていない場合は、住民税の申告が必要です。申告方法は納税対象の市町村のホームページで確認しましょう。

フリーランスとして新たに支払う税金

所得税や住民税は納め方が異なるだけで、フリーランスでも会社員でも同様に納めなければいけない税金です。一方、フリーランスになって初めて課せられる税金もあるのです。

個人事業税

個人事業税は、事業を営む個人に課せられる地方税です。個人事業税が課せられるのは地方税法等で定められた70業種。ほとんどの事業が該当しますが、対象外となる業種もあります。業種によって3~5%の税率が設けられています。

個人事業税額は所得(収入ー必要経費)から 事業主控除 290万円を差し引いて計算するため、所得が290万円以下の場合は課税されません。

個人事業税の納め方

個人事業税の対象となる場合は、 翌年3月15日までに事務所・事業所のある地域の税務署に申告書を提出する必要があります。

ただし、所得税の確定申告や個人住民税の申告をした方、所得が290万円以下の方は申告書の提出は不要です。

納付時期は原則8月と11月の年2回。8月に税務署から送られてくる納税通知書により期限内に納付します。

消費税

フリーランスで売上が1,000万円を超えたら消費税を納める必要があります。ただし開業後2年以内であれば納税は免除されるので、フリーランスになってすぐに消費税を納める必要はありません。

それでも消費税の申告は少々複雑なので、今後売上が1,000万円を超えそうな場合は事前に申告のための準備をしておくとよいでしょう。

フリーランスの消費税については、後日別の記事でわかりやすく解説できればと思います。

まとめ

会社員では意識する機会が少ない税金のこと。私も会社員時代は給与明細を見て「けっこう引かれてるな」くらいにしか思っていませんでした。フリーランスとして正しく納税するためにも、仕組みや納め方を知っておくことは大切ですね。

さて、次回は社会保険料編をお届けします。

※本記事は2020年5月12日時点の情報をもとに執筆したものです。