失業中の生活の支えとなる雇用保険。今国会で提出される改正案には、これから起業する人や起業して間もない人にとって救いとなる内容が盛り込まれています。
雇用保険の受給期間は原則1年間
雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)は会社員が離職して、次の仕事を探す期間にもらえるお金です。失業手当にはもらえる期間が決まっています。これを「受給期間」といい、原則として離職後1年間です。
受給期間は延長できますが、これまでは病気や出産・育児などで働けない場合に限られていました。
起業した人が求職する場合も期間延長が可能に
今回の改正では、離職後に起業した人が事業をやめて仕事を探す場合、最長4年間まで受給期間を延長できる見込みです。
事業を軌道にのせるのはなかなか難しいもの。なかにはうまくいかず、会社員に戻る人もいるでしょう。これまではこのような場合の受給期間の延長は認められていませんでした。そのため起業後1年以上経って会社員に戻ろうと思っても、失業手当をもらえなかったのです。
起業で失敗した場合にも受給期間を延長ができるようになれば、新たな仕事を探す間の助け舟となるでしょう。
今後の動向に注目しよう
働き方が多様化してきた昨今。それに伴い、社会保険の保障範囲が会社員以外もカバーできるよう広がりつつあります。今回ご紹介した改正案もその一環です。
これから起業する人のなかには、「今から事業が失敗したときのことを考えるなんて…」と思う人もいるかもしれませんね。しかし廃業して仕事を探す期間は収入がなくなるので、経済的にも精神的にも負担は大きくなるでしょう。そのような場合に備えて、使える制度を知っておくことは大切です。
まだこの改正は正式決定したわけではないので、今後の動向に注目しておきましょう。
※本記事は2022年1月26日時点の情報をもとに執筆したものです。
【参考文献】
ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
厚生労働省「【別添】雇用保険部会報告」
https://www.mhlw.go.jp/content/11607000/000879621.pdf