老後資金の対策をしたいと考えているフリーランスのみなさん。「付加年金」という制度をご存知でしょうか?「2年でモトが取れる」というキーワードで知っている方もいるかもしれませんね。本記事では付加年金の概要と「2年でモトが取れる理由」を計算例を用いて解説。さらに付加年金に加入できないケースについても触れていきます。
付加年金の概要
付加年金とは、国民年金保険料に付加保険料を上乗せして納めることで、将来受け取る年金額を増やすことができる制度です。
付加保険料を納めることができるのは「国民年金第1号被保険者」と「65歳未満の任意加入被保険者」です。上乗せする月額の付加保険料は一律400円。国民年金保険料と合わせて納付します。
新たに付加年金を納める場合は、お住まいの市区町村役所の窓口または年金事務所に申し出ましょう。
付加年金の計算方法~なぜ2年でモトが取れるのか~
付加年金は老齢基礎年金と合わせて、生涯受け取ることができます。そのため受給期間が長ければ長いほど、納めた付加保険料に対してお得に年金を受け取ることができるのです。
将来受け取ることができる付加年金額は以下のように計算します。
付加年金額 = 200円 × 付加保険料納付月数
納めた付加保険料の合計金額は、付加年金を2年間受給した時点の金額と同じになります。付加保険料を30歳から60歳までの30年間(360ヵ月)納めた場合の例で計算式をチェックしてみましょう。
①付加保険料の合計金額 = 400円 × 360ヵ月 = 14万4,000円
② 2年分の付加年金額 = 7万2,000円* × 2年 = 14万4,000円
*付加年金額
= 200円 × 付加保険料納付月数
= 200円 × 360ヵ月 = 7万2,000円
「①付加保険料の合計金額」と「②2年間分の付加年金額」が同額になりましたね。これが付加年金が2年でモトが取れると言われている理由です。
ではもっと長い期間付加年金を受給した場合、どれだけお得になるのでしょうか?前例と同様、付加保険料を30年間(360ヵ月)納め、65歳から90歳までの25年間付加年金を受給する例で見みましょう。
①付加保険料の合計金額 = 400円 × 360ヵ月 = 14万4,000円
②付加年金額* × 25年分 = 7万2,000円 × 25年 = 180万円
*付加年金額 = 200円 × 360ヵ月 = 7万2,000円
② – ① = 180万円 – 14万4,000円=165万6,000円
上記ケースでは納めた付加保険料より合計165万6,000円、10倍以上もの付加年金を受け取ることができます。つまり付加年金は「長生きすればするほどお得な年金」なのです。
付加年金に加入できない3つのケース
このようにお得な付加年金ですが、以下に該当する場合は加入することができません。それぞれ見ていきましょう。
国民年金基金との同時加入はできない
付加年金と国民年金基金に同時に加入することはできません。すでに国民年金基金に加入している方は付加年金には加入できないので注意しましょう。
どちらに加入するか迷われている方は、以下の記事を参考に比較検討してみてくださいね。
第3号被保険者は加入できない
前述のとおり、付加保険料を納めることができるのは「国民年金第1号被保険者」と「65歳未満の任意加入被保険者」のみです。そのため、会社員などの国民年金第2号被保険者に扶養されている国民年金第3号被保険者は付加年金に加入できません。
国民年金保険料の免除・猶予を受けていると加入できない
国民年金保険料の免除・猶予期間中の方も付加年金には加入できません。また付加年金加入中に国民年金保険料の免除・猶予の承認を受けた場合、対象期間中の付加保険料は納付できなくなります。付加保険料だけを納付することはできないので、留意しておきましょう。
まとめ
人生100年時代と言われる昨今。付加年金は月額400円で長生きリスクに備えられる、フリーランス向けのお得な制度といえるでしょう。
すでに老後の資産形成を始めている方も、これから始めようと考えている方も、「2年でモトが取れる」付加年金への加入を検討してみてはいかがでしょうか?
※本記事は2020年10月27日時点の情報をもとに執筆したものです。
【参考文献】
●日本年金機構「付加保険料の納付のご案内」
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/20150331-03.html
●津市「国民年金からのお知らせ」
https://www.info.city.tsu.mie.jp/www/contents/1592184410297/simple/20200701-16P21-2.pdf